電脳売王で HP t5570 Thin Client が999円税別と安かったので買ってみた。
- CPU : VIA Nano U3500 1GHz
- メモリ : DDR3 SO-DIMM 1GB
- ストレージ : IDE DOM 2GB
- OS : Windows Embedded Standard 2009
まずメモリは DDR3 SO-DIMM が1スロットなので、余っていた 2GB に交換した。
ストレージは Disk on Module (DOM) というフラッシュメモリのもので、IDE 44ピン、要するにノート PC の2.5インチ HDD と同じだ。ただし端子のオスメスが逆になっている。基板側にオスがあり、DOM 側がメスだ。
マザーボード上には IDE 44ピンと SATA が1個ずつあって、本来のストレージである DOM は IDE に装着されている。
2GB でも本機の標準 OS である Windows Embedded Standard 2009 (WES2009) は問題なく入る。
また、DOM を外して IDE 44ピンのメスメスケーブルを使えば、2.5インチ IDE HDD が接続できる。
あるいは SATA のオスメスケーブル で SATA HDD もいい。
私は2.5インチ IDE SSD の CSSD-PM32NJ が余っているので、とりあえずこれをつないだ。
写真は eBay ドイツの出品ページ (魚拓) がわかりやすい。
ここの写真では IDE HDD がヒートシンクの左側で筐体内に収まっているが、筐体手前側の壁 (写真では左側) に内蔵スピーカーがついていて、それが邪魔でどうしても収まらない。
HDD は筐体内に収まるがマウンターはないので、中に入れて使うにはマザーボードやメモリとの絶縁を考慮する必要がある。
IDE の場合、スピーカーを外してしまえば左側に入る。
ヒートシンクを固定してる足と筐体手前側イヤホンジャック等の裏側に乗ってしまって、メモリには触れないし、普通に配置すると HDD とメモリの間にケーブルが挟まるような配置になった。
SATA の場合、スペース的には何も外さなくても入るが、マザーボードとの絶縁は考慮しなくてはならない。
KingSpec あたりの安い中華 SSD だとケースの表面はプラなので、安物感がむしろ絶縁感になるかも知れない。
Via Nano は Intel Atom や AMD Geode を競争相手とする低消費電力 CPU で、その性能は初期ネットブック程度。ただ世代はちゃんと新しいので NX ビットも SSE2 も対応しており Windows 8 が動作可能、さらに x64 まで対応と、ちゃんと今風の機能を備えている。
スペック上はそうだが実際どうなのかということで試してみたところ、Windows 10 が問題なく動作。
わざわざドライバーを入れる作業なしで、不明なデバイスがないというステキ仕様だった。
もちろん性能面では限界を感じるシーンが多く、Windows 10 では色々 CPU を食われてなかなか厳しい。
だが本来の OS である Windows Embedded Standard 2009 (WES2009) では驚くほど快適だ。
ASCII の記事で、一世代前のデスクトップ向けモデル Via Nano L2200 で大航海時代 Online のベンチマークスコアを掲載している。
Nano L2200 は Atom 230 の半分にも届かない Total 47 というスコアで、それを見た私には、さらにその超低電圧版である Nano U3500 の性能にはかなり覚悟する部分があった。
ところが実際にベンチマークを走らせてみると、記事の Nano L2200 とはかけ離れた好成績。
ベンチマークの設定は、標準ではフルスクリーン 800x600 のところをウィンドウ 800x600 に変更した。
他の PC と比較もあわせた一覧:
PC |
OS |
CPU |
GPU |
Land |
Sea |
Char. |
Total |
消費電力 |
HP t5570 |
Windows Embedded Standard 2009 |
Nano U3500 1GHz |
Chrome9 HD IGP |
98 |
049 |
071 |
218 |
15~18W |
HP t5570 |
Windows 10 |
Nano U3500 1GHz |
Chrome9 HD IGP |
040 |
029 |
028 |
097 |
15~17W |
Lenovo ThinkPad T400 |
Windows 10 |
Core2Duo P8400 2.4GHz |
GMA X4500 |
077 |
058 |
053 |
188 |
30~32W |
WES2009 での測定時は IDE SSD、Windows 10 での測定時は SATA SSD なので、最大消費電力が 1W 違うのはそこに理由があると思われる。IDE SSD は2010年購入、SATA SSD は今年購入なので。
さすがに Windows 10 では何周回しても Total が100に乗らず、画面を見ていても、とうていまともにプレイできる状況には見えない。
しかし WES2009 では Total 218 となかなかの好成績で ThinkPad T400 を上回り、画面を見ての印象でもおおむねいけそうだ。
大航海時代 Online の必要環境は Core2Duo 1.6GHz 以上なので、1GHz の Nano U3500 としては大健闘のスコアじゃないだろうか。
さて、一応普通の2.5インチ SSD を内蔵できたわけだが、IDE SSD の発熱が大きく、CPU ヒートシンクよりも熱をもつ。
それに筐体内で固定できていないので、この状態で常用するのは少し気が引ける。
AliExpress で「ide 44pin dom horizontal」なんて検索すると、内蔵フラッシュメモリと同じ形状のストレージが出てくる。
ヤフオクで mSATA SSD を HP t510 の SATA ポートにマウントする変換マウンター基板を製作販売している人がいて、t5570 でも利用可能かもと記載があるので、それを使うのもアリか。
(2016/09/28 追記)
続きを書いた。