Q1900-ITX + KRPW-AC120W + WD60EFRX で 低消費電力 RAID1 ファイルサーバーを作る話。
4年半強前にファイルサーバーを更新したのだが、この 2TB では手狭になってきた。
そのため今度は 6TB でリプレイスすることにした。
以前はとにかく安く! という方針で、WD20EARS (WD Cavier Green) を採用した。
4年半後、2台ともまだ Reallocated Sector Count は0のままで、結果としては Green でも問題なかったのだが、今回は Red にした。価格差もそう大きくないし。
今回は低消費電力を主眼に、ASRock の Q1900-ITX を採用。
BayTrail-D で Atom ではなく Celeron 名がついている J1900 搭載。
上位機種 Pentium J2900 搭載の Q2900-ITX なんてのもあったが、価格差ほどの性能差はなさそう。
あくまでファイルサーバー用途で、今まで1コアの Celeron 430 で足りていたぐらいだから、あえて上位機種を選ぶ理由もなかった。
電源は玄人志向の KRPW-AC120W。AC アダプターを使う点が気に入った。
AC アダプターを使う場合、ATX 電源ではなく AC アダプターを直接つなぐ Q1900DC-ITX というマザーボードもあるのだが、私は自作経験は少ない方なので、仮に KRPW-AC120W がうまくいかなくても普通の電源ユニットで代替できることを考慮した。
ケースは IW-EM048。
Mini-ITX で組む場合、ケースも小ささを重視する向きが多いと思うが、私の場合そこにはさほどこだわりがなかった。むしろある程度のサイズで筐体内の空間に余裕があり、冷却しやすいことを重視している。BayTrail-D は発熱が少ないが、冷やしたいのはハードディスクだ。
また個人的に、ファイルサーバーの隣に Inspiron 530 が並んでいるので、それと同程度の高さが好ましかった。
それに、まあまあ安いし。
メモリは DDR3 SO-DIMM の 1GB が2枚余っていたので流用。Celeron J1900 搭載マザーボードは DDR3L のみ対応のものが多いようだが、Q1900-ITX は DDR3 が使えるので。
さて組み立てだが、どうも IW-EM048 は精度が低いのか、少々苦労する点があった。
まず電源の背面パネルがなかなか入らない。KRPW-AC120W は背面側がパネルと言っていいぐらい、要するに板なので、ややひん曲げながら無理矢理ねじ止め。これ普通の箱形電源なら入らない場合があるのではないか。
またマザーボード付属の背面パネルもなかなか入らない。これも曲げながら押し込んだ。
3.5インチベイは合計4台分だが、ハードディスクは2台とも拡張マウンターに取り付けた。これで前面ファンの風が当たる。
Q1900-ITX は CPU ファンがなく、CPU の冷却はヒートシンクだけということになっているが、マザーボード上に CPU ファン電源 (3ピン) がついている。ケースファン電源 (3ピン) もあるので、ケースの前後に装着されているファンにつないだ。
Q1900-ITX には SATA3 対応の 50cm SATA ケーブルが2本ついているが、IW-EM048 ではやや余るので、30cm のケーブルを使った。
BIOS 設定いじり……いや UEFI 設定いじりか?
ファンコントロール設定を下げる。CPU ファン、ケースファンともに常時 Level 9 で回す設定になっていた。
オンボードビデオの共有メモリは Auto だと 256MB 持って行かれてうれしくないので 64MB に固定。
OS インストールは、普段は光学ドライブをつけるのだが、今回は USB メモリで行った。今時は USB ブート出来て当然だし、光学ドライブより高速。
Debian の netinst ISO を Unetbootin で USB メモリに入れる。
それを挿入して起動する。UEFI 設定のブート順位は変更する必要があったかも知れない。
ここでの問題は GRUB インストールにあると思う。6TB ハードディスクのため GPT パーティションになるので、昔ながらの手順だとアラインメントはずれるわ、BIOS Boot Partition が必要だが作られないので GRUB インストールがコケるわ、という有様になる。
Alt-F2 でシェルを開いて parted でパーティションを作り、戻って partman で RAID 構成という感じになるかな。
私は面倒くさがりなので、別の USB メモリに (Unetbootin で) linuxBean を入れ、そっちで起動して GParted を使った。
MiB アラインメントで先頭に 1MiB の sda1、sdb1 を作り、それに bios_grub フラグをつけておく。
これで grub-install が成功するようになる (grub-install のターゲットは sda1 ではなく sda)。
後ろに sda2、sdb2 を同じ容量で作っておき (これを md0 にする)、Debian netinst で起動し直してインストール。
今回 swap は作らない。メモリ 128MB でも足りそうな仕事をさせるのに、2GB 搭載しているのだ。
消費電力はというと、こんな感じ。ワットチェッカー Plus の表示なので、1秒未満の瞬間的な数字は見られない。
状態 |
消費電力 |
電源オフ |
3W |
電源投入時 (ハードディスクのスピンアップ時) |
最大 45W |
OS 起動中(GRUB から login: が出るまで) |
25~28W |
アイドル状態 |
(RAID の resync 終わってからチェック予定) |
大きなファイル (1GB 強) を書き込んでいる時 |
最大 31W |
削ろうと思えばもっと削れるとは思う。たとえば前面ファンを止めるとか。
しかし目的は消費電力削りを極めることではなく、安定して快適に使えることなので、ハードディスクは冷やしたい。
一応オンボードの HD Audio 等は設定で無効にしてある。